矯正治療は、「不揃いな歯並び」「悪い噛み合わせ」に対し、ワイヤーなどにより人工的な力を加えることで歯を本来の位置に移動させ、人が持つ美しい歯並びや噛み合わせに整える治療です。歯並びや噛み合わせが良くなることで、お口の機能改善が得られ、よりいっそう健康になります。
逆に歯並びが悪いことによる精神的・心因的な負担は想像以上に大きいものがあります。面と向かって話しができなくなるなど、人とコミュニケーションを取ることさえも困難になってきます。
機能的にも、うまく噛めない(咀嚼機能障害)ので、食べ物を上手に噛み砕くことができなくなると消化不良を起こして、胃や腸に負担がかかることにもなります。
歯磨きもしにくく、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
不正咬合にも様々な状態があり、下の図のように見た目の悪さはもちろん、様々な障害を起こす原因となります。
◆出っ歯・上顎前突
上の前歯が極端に前に出ている状態。日本人に比較的多くみられる症状です。
◆反対咬合(下顎前突)>
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態。受け口ともいい、横顔がしゃくれたように見えたりします。
◆すきっ歯・空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の隙間が開いていて、食べ物がはさまりやすく隙間が目立ちます。
◆過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に深くかぶさっている状態。顔が短く見え、歯の接触で大きく損傷してしまうこともあります。
◆乱ぐい・叢生(そうせい)
歯が重なり合い凸凹の状態。八重歯ともいい、歯磨きが難しく虫歯や歯周病へのリスクが大きいです。
◆開咬(かいこう)
前歯を閉じても噛み合わず隙間があいてしまう状態。食べ物によっては噛み切れないこともあります。
◆交叉咬合(こうさこうごう)
歯の噛み合わせが部分的に反対になってしまっている状態。顔が歪んだり(非対称)、食いしばりができない方もいます。
MTM矯正は、歯列全体の矯正ではなく、数本の歯を動かす矯正治療です。
埋まっている歯を引っ張り出したり(挺出)、歯の位置を移動させたり(歯体移動)、斜めに生えた歯を真っ直ぐにしたり(整直)、歯を回転させたりする治療です。
他の治療の妨げになってしまうなど、治療後に問題が残る恐れがある場合に行う矯正治療です。
通常で3ヶ月~6ヶ月程で歯を整え問題を改善することができます。その後、保定装置を装着し安定させます。インプラントを行う場合には保定期間を設けず治療を進めていきます。
◎MTM矯正の症例
7歳女性のお子さんです。
前歯の反対咬合のため、MTM矯正により治療。1ヶ月で完治しました。
1本1本の歯にブラケット(金属)を接着してワイヤーを通し、小さい力を加えて3次元的に歯を移動させていきます。近年最もよく使用されているのがこのマルチブラケット装置です。
ストレートアーチワイヤー法は、ブラケットに歯の傾斜度や歯の厚みなど、平均的な様々な情報を組み込むことで、効率化を高めた矯正治療法です。診療の時間、治療期間共に患者様の負担を大きく減らすことができます。
欠点としては、ブラケットを装着するとどうしても歯磨きがしにくくなります。ブラケットは治療が終了するまで基本的に取り外しませんので、虫歯や歯周病のリスクを避けるためにも、1本1本丁寧に磨くようにしましょう。
◎子供の場合
お子さんの成長を見極めたうえで、状態や状況に合わせた治療を行っていきます。
顎の成長に問題が出そうな場合、早めに第1期治療(顎の矯正治療)を行ないます。その後、永久歯へ生え変わりが始まってから、第2期治療(歯の矯正)を始めていきます。
「最適な時期はいつ?」と聞かれることがありますが、様々な状況を考慮したうえでご相談しながら決めていくことになります。
「おかしいな?」と思ったらまずはご相談ください。最適な時期を見極めた上で、質の高い治療を行っていきたいと考えております。
◎大人の場合
大人の方の場合、顎や歯の状態が既に安定していますので、基本的にはいつでも可能です。
しかしながら、年齢を重ねるごとに歯は動きにくくなってきますので、お悩みの方は早期の治療をお勧めします。
一般的な治療期間は2年程度ですが、おおよそ2年前後の個人差があります。
治療終了後には、移動した歯が元の位置に戻らないよう、2~3年の保定期間が必要になります。
保定期間とは顎の骨が固まり歯並びや噛み合わせを安定させる期間のことで、保定装置をお口に装着して矯正治療後の状態を保ちます。矯正治療においてこの時期がもっとも大切とも言えます。最良の結果を得るためにも適切な保定期間を過ごしましょう。